バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

15 決意:青龍組の場合

「斎藤さん、立花さん。今、大丈夫かな」
二人の部屋の前でそう声をかける乙哉。扉はすぐに開き、乙哉は部屋に招き入れられた。
「お疲れ様です、伊藤様」
「今日はどのような案件でしょう」
「君たちにお願いがあってきたんだ」

 

「今朝がたから遠征のためにメンバーが選抜されてるのは知っているね」
「はい。ですが、私たち青龍組は待機とのことでしたが」
「うん。その上で、僕と一緒に動いてほしいことがある」
乙哉はゆっくりと言葉を続ける。
「青龍組はこの屋敷の維持と共に、選抜隊のサポートを遠隔で行うことになったんだ。この地下に書庫があるけど、立ち入り禁止の扉の先は見てないよね?」
「はい。もとより誘う方もいらっしゃらないので」
「あそこはデジタルと術式を組み合わせたいわゆるコンピュータールームでね。異変察知や解析などに用いられてるんだ。そこで、君たちにその部屋への出入りを許可しようと思う」
「私たちが、ですか?」
「うん。その上で、君たちに仕事を与える」

「君たちは、選抜隊のサポートを交代で行ってほしい。サポート隊のリーダーとして、君たち二人を起用しようとおもっている」

 

「私たちでよろしいのですか、伊藤様」
「うるはに同意します。そのような大層な役、私たちにできるのですか」
「それを見込んでのお願いだよ。君たちは頭がいい。ただの天才じゃない。「素質」がそれを物語っている。勿論無理にとは言わないけどね」
斎藤と立花は顔をあわせる。暫く無言で見つめ合っていたが、やがて再び乙哉の方を向いた。

 

「分かりました。精一杯、やらせていただきます」
「どうぞ、よろしくお願いします、伊藤様」
「うん! ありがとう!」
乙哉はにっこりと笑った。斎藤と立花は無表情だったが、決意に燃えていた。