バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

凛とした殺人鬼2

5 鏡写し

「……」 時計台の前でマヨイは祖父母を待っていた 外に出るなと忠告されたのだが、あまりに元気のないマヨイの様子を見た祖父母が外出を勧めたのだ 「少しくらい、大丈夫だよね」 マヨイ自身がそう思い、祖父母の提案にのった 「遅いなぁ、おじいちゃんもおば…

4 勇気ある選択

「ここで大丈夫ですね」 男たちに連れられ祖父母の家に戻ってきたマヨイ 髪のきれいな男、もといルソーはマヨイの頭をなでながら言った 「いいですか。信じられない話でしょうが、聞いていただきたいです」 「この街には、ヤヨイ・キサラギという、貴方にそ…

3 無理矢理の出会い

「あ? おい、『仕立て屋』じゃねぇか?」 そう後ろから声をかけられ、マヨイは振り向いて驚いた 見上げるほど背の高い、威圧感のある男がそこに立っていたのだ マヨイ自身あまり背の高い方ではないが、それにしてもその大きさは圧巻ものだ 黒いフードをかぶ…

2 勘違い

変だ マヨイは次第にそう思うようになっていた 街を歩くと皆、ニコニコと笑ってマヨイと接する それだけならまだ「ほほえましい街だな」で済む だが、時折人が深く頭を下げたり、「あの時はありがとうね」と声をかけてくるのだ 「おかしいよ、こんなの。私何…

1 帰郷

「ふーっ! やっとついた!」 列車から飛び降りて荷物を置くと、マヨイ・ハヅキはうーんと伸びをした 彼女はサクライ町に住まうごく普通の高校生である その学校が夏休みに入って数日。彼女は祖父母の住まうミカガミ町に預けられることになった 「えーっと、…

プロローグ

ねぇ、知ってる? あそこの席に座ってる女の子 とっても親切なんだってね でも、それは表の顔なんだって なんでも、彼女 人を殺したことがあるらしいよ あの夏休みは 私にとって永久に心に残る一か月になった それでも私は、何も悪くない 凛とした殺人鬼2 …