バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

#練習用

『泣かないで』:田辺雄介

俺の相方は、昔はよく泣いた。 恐怖に駆られて泣きながら俺のところに来て、そのたびに「泣くな、泣くな」と背中をさすっていたことを覚えている。……まぁ、恥ずかしいからって相方には口止めされているが。 と思っていたのだが、とあるバラエティで相方は、…

『こんな屈辱って』:柴崎左京

「夢を見ていたのは認めますよ。僕は誰でも助けられると思っていた」 左京とこんなところにやってくるのは初めてじゃないだろうか。ちょっとだけ愚痴を聞いてくれ。左京からその言葉が出るのがあまりにも稀有で、思わずその場で頷いてしまった。 左京は酒に…

『構ってよ』:青

江戸紫と外で食事をするのは久しぶりだ。 食事は食事、お喋りはお喋りとちゃんと気持ちを切り替えるのはマナーのいい証拠か。とはいえ僕があまりしゃべらないので仕事の愚痴から交友関係まで、いろんな話を聞いた気がする。 だが、結局食後のバーにまでつい…

『教えて』:伊藤乙哉

ひとりのしょうねんがおりました しょうねんはせいちょうがとまってしまっていました だから、どこをみても、なにをみても、しょうねんはめをかがやかせました そんなしょうねんにはあるくちぐせがありました 「兄貴!」 嬉しそうな顔をして乙哉が楽屋に入っ…

『思いっきりアウト』:入不二右京

芸人たるもの、いつどんな仕事でもこなせるようにならねばならない。 分かっている。若手芸人の域に入る俺にだってそのことは分かっている。そこにプライドが介入するなんてもってのほかだ。 わかっている、のだが。 「フリーハグ、だと?」 街頭出没系バラ…

『無性に抱きしめたくなる』:伊藤浩太

眠れない。 電球一つだけつけた薄暗い居間で、浩太は本のページをめくっていた。 直前まで自室のベッドに転がっていたが、なぜか寝られず今しがた抜け出してきたところである。 「……」 手元の本は本屋で見つけた医療書だ。日進月歩の技術がまた新しく愛しい…

文章特訓SS タグ編「ガトーショコラ」

甘々文字書きワードパレット「ガトーショコラ」 「溜め息」「目を伏せる」「拭う」

文章特訓SS タグ編「パフェ」

甘々文字書きワードパレット「パフェ」 「欲張り」「少しずつ」「瞳」

文章特訓SS 情景描写編

つと、流し込む紅茶の味が甘い。立ち上る湯気は窓の外に散る正反対の存在と同じ色をしている。「遠くからご苦労だったね。疲れていないかい」「奉仕対象の命令です。そこに疲れは関係ありません」俺の返事に夢岡氏は困ったように首を振った。「これではまる…

文章特訓SS 戦闘描写編

振り抜かれた細い十字架の間を潜り抜け、腕を伸ばす。だがそれより速く横から蹴りが飛んできた。ガードする余裕はあった。威力もさほどない。最初から当たらないつもりの蹴りだったのだろう。「流石、絵空」「……」回転して振り下ろされた十字架をかわし、一…

リハビリ短編その1

陽子さんリクエスト 「海」「地平線」「フレーム」×伊藤兄弟(伊藤浩太、伊藤乙哉)

17 風紀委員と男装女子

「なぁ、暁」 水城は遠賀川に近づく 「要するに、俺たちみたいに変なものが浮いてるやつは危ないから、自分たちの力で取り押さえろってことか?」 「今はそれだけ分かってくれればいい。詳しいことは俺にも分からんが、その解釈だけは合っているようだ」 「…

17 水と音

「論、そっちの準備はできてるな!?」 『大丈夫』 『こちら真宮。順調にエネミーを誘導できているよ』 住宅地にいた黒い生物をかき集め、笛利は走っていた エネミー討伐作戦も終盤に差し掛かった頃 大黒の「自由工作」も終盤を迎えていた 同時にエネミーも…

「グレ会」キャラシ置き場

名前:小谷野歩人 性別:男 異能力:電子脳。あらゆる機械をハッキングし、意のままに操る 立場:シン・パーティ 武器:電子パネル 好きなもの:唐揚げ 嫌いなもの:正義もしくは悪に準ずるもの 目標:収容者の開放 その他詳細:あらゆる機械をジャックして…

グレーゾーンでお会いしましょう

世界観 時は近未来、場所は日本 世相には異能力が広まり、犯罪率も増加の傾向にあった 危険人物として収容されていた男:小谷野歩人は、政府に協力することを条件に、とある組織で働くこととなる そこは、異能力によるテロを防ぐ組織 集められたメンバーは皆…

とある密室で(有罪裁判官)

バタバタと足音がばらついて響く 複数の男たちが、血相を変えて逃げていく ドスン 地響きと共に空間が揺れる 短い悲鳴も上がる 地獄絵図と化した現場は、ものの数分で静かになった 壁際に追い詰められた男が、震えながら目の前に立つ二人の男女を見る 血にま…

小さな変化、大きな変化

「なぁ、大黒屋」 チームのメンバーで集まっているときに、スイが何気なく話しかけてきた 「お前、眼の色変わった?」 「眼?」 俺は端末を立ち上げてカメラ機能で顔を撮す 「昔は茶色っぽかった気がするんだが」 そう言われる俺の眼は、濃い紫に染まってい…

有罪裁判官 参加者一覧

「有罪裁判官」 名前:風見丘 龍紀(かざみがおか りゅうき) 性別:男 役割:有罪裁判官 能力:不詳 武器:鋏 外套の文字:「斬」 その他詳細:有罪裁判官のナンバー2 無感情で容赦がなく、泣き言や言い訳を聞き入れない冷たい人物 だが仲間想い。ピンチの…

有罪裁判官メモ

世界観 少し未来の日本 世界には超能力が蔓延し、一般的に超能力が扱われるようになっていた その一方で超能力を利用した犯罪者が増加 警察が対処できない犯罪者を「短逝執行人」と呼ばれる役人がとらえていたが、それも限界に近付いていた ある日、街に妙な…

お題SS 「双生、形勢、反動」

僕たちはいつも二人で一つだった 小さいころから、食べるもの、遊ぶおもちゃ、着る服、正確な時間でさえ一緒だった だから僕は彼が好きだったし、彼も僕を慕ってくれた 「そーら、僕らの勝ちだ」 チェスの駒を同時に弾き、僕たちは言った 「流石は参謀。私ど…

とあるカフェにて

「んーっ!」 デスクに向かいっぱなしだった大黒屋は思い切り伸びをした デバイスに向かいっぱなしはさすがに体にもくる 『おーおー、疲れやすくなってるんじゃねぇの?』 頭の中で響くのは「闇華」の声 「うるせぇやい」と一喝する 丁度昼時だった。お昼ご…

異端嫌いの部下

「鬼才さーん」 雨の降るある日のこと 梨沢は傘を忘れた鬼才を迎えに来ていた 何度か顔を出したことはあるが、一人で自警団まで足を運ぶのは初めてである 鬼才は時間を少しだけおいて奥から出てきた 横に一人女性を従えている 「やぁ、梨沢君。わざわざあり…

字書地獄1「桜の空」

「それじゃあ、また明日」 誰に言うわけでもなくその言葉を投げかけ、片桐唯人は教室を出た 高校に入って2度目の春だが、友達がいないのは寂しかった 「よう、唯人」 不意に片桐は呼び止められ、振り返る 校門に寄りかかり、一人の男子が手を振っていた 「…

逢魔ヶ刻に止まる刻 まとめ(1/18)

主要ワード 斜陽、人形 世界観 現代世界のパラレル ある日突然すべての時計が止まり、太陽が夕刻から動かなくなってしまった 同時に人間を襲う「人形」と呼ばれる存在が出現する 主人公たちは人形を倒しながら、再び太陽を動かす方法を模索する 用語まとめ …

11 強運の持ち主

「にしてもよ、マヨイの力って、そんなに脅威的にも聞こえないんだけどな」 アイラがぽつりと呟く それに草香が答えた 「なめてかからないほうがいいですよ。ある意味では、私たちより脅威かもしれない」 「でも、例えばあれだろ。サイコロの出目がわかると…

14 記憶との差異

「似長さん、清光君は大丈夫?」 紫苑が心配そうに問いかける 「いや、かなりまいってるみたいだ。今はかかわらないほうがいいだろう」 似長は視線を落として答えた 帰ってきてすぐに自室に籠った清光は、食事の時間になっても現れなかった 仕方なく彼の部屋…

6 出撃用意

紫苑に小突かれるまで似長はうとうととしていた 何もない平和を味わうことを中断させられ、やや不満げに似長は紫苑を見上げる 「不満そうだけどそれどころじゃないの!」 紫苑は似長を引っ張って居間に出た 居間にはいつもの顔ぶれに交じって白と八雲の姿が…

残響の後

「本っ当に申し訳ございませんでした!!」 音が鳴る勢いで頭を下げる梅ヶ枝 「せやからその事はもういいて言いよるやろ。こうしてラーメン奢ってくれとるんやし」 呆れた声で真苅が返した あの後、鬼才の薬を流し込まれ病院に担ぎ込まれた梅ヶ枝はすんなり…

困惑と団結

梅ヶ枝の姿は異様なものだった 腹部の布地が裂け、右肩に大きな傷を負っており、右腕は思うように動かないようだった 「おい、梅ヶ枝!」 追いついた柿本が声をかける。梅ヶ枝はぐるりとそちらを振り向いた いつもの懇切丁寧な仕草はどこにも見受けられない …

完璧主義者のSOS

カツン、カツン アスファルトを叩く音が響く 彼は腹部を押さえながら、少しずつ、前へと歩いていた 人が少ない場所へ。できるだけ広い場所へ 迂闊であった。彼は思う さほどレベルの高いルイウではなかったが、うっかり傷を負ってしまった。これがいけなかっ…