バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

最初から

「なぁ、真苅」
資料の束を運びながら梨沢は言う
「なんや、梨沢」
「お前さ、異探偵やる前は何やってたんだ」
「うーん…。覚えとらんわ。このセカイに来たときからうちは異探偵やった気がする」
「なんだ、真苅もかよ…」

「なんだって何やねん、梨沢」
「栗原も柿本も林檎も覚えてねぇんだよ。最初から異探偵だっていいやがる」
「そないもんやないの?異端やから異探偵。それでええやん」
楽観的な真苅の声に梨沢は首を傾げた

唯一、鬼才だけは反応があった
慌てて話を反らそうとしたのだ
何かあるに違いない。となると、残るのは梅ヶ枝だけだった
いい返事は期待しないことにしよう。梨沢は溜息をひとつ吐き、階段を上りだした