バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

仲がいいのか悪いのか【ノイジー編】

人々が往来するKOGA基地内
その中を縮こまりながら歩く一人の青年がいた
彼の名はノイジー・ノーティス
戦闘狂で名をはせるNOGIの歩兵師団員ディクライアンの弟である

「あーっ! ノイジーさん!」
後ろから不意に声をかけられてノイジーは飛び上がった
「あ、あう……」
恐る恐る振り返ると、茶髪の女性がニコニコと手を振っていた
西名晄。ダントツでノイジーに話しかけてくる、優しい先輩であるのだが

「……」
「……」
向かい合った二人は一切動かない
否、西名は近づきたくて前に出るが、同じだけノイジーが後ろに下がっているのだ

ノイジーには人に言えない特別な能力を持っている
人の感情を音として聞き取る能力である
この能力がばれてしまえばKOGAにいられないだろうと思い必死に隠しているが、西名を前にするとその余裕もなくなる

「に、西名さん……」
「怖くないよ……。怖くないから、ほら、おいで……」
純粋な好意と好奇心であることは分かっていた
しかし、自己肯定感が低いノイジーには邪な感情に聞こえていた

事態が動いたのは突然のことだった
ノイジーが踵を返して走り出した
「あー! 待ってー!」
その後を西名が追う
廊下は走るなとは耳にたこができるほど聞いている二人だったが、この追いかけっこもノイジーが西名に捕まることで終わりそうである