バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

最悪のマインドアウト

「走れ、真苅! 奴らの動きを牽制しろ!」
「言われんでもわかっとるわ!」
ルイウの群れに遭遇した梨沢は、同伴していた真苅と柿本を率いて群れを追っていた
逃げ場を失ったルイウは次々と襲い掛かってくるが、梨沢に弾かれ、柿本に斬られていった

「よっしゃ、これで全部やろ!」
真苅が最後の一匹を撃ち抜く
さらさらと灰になっていくルイウを見、梨沢はふっと息を吐いたが
「梨沢! 後ろ!」

「っ!」
群れの生き残りであろうルイウが草陰から飛び出し、梨沢をひっかいた
「このっ!」
梨沢は身を振るってルイウを引きはがすが、そこで膝をついてしまう
引きはがされたルイウはすぐに柿本に斬り裂かれたが、柿本がそちらを見ると、梨沢の様子がおかしいことに気が付いた

「梨沢……」
「真苅、柿本、今すぐ離れろ……。栗原と連絡をとって、鬼才さんを呼んでくれ」
「せやけど、梨沢、あんた」
「いいから、早く!」
ずるり。梨沢の足元から濃紫の物体が現れる
「無事で、いてくれ……」
梨沢はそこで、一度地面に倒れ伏した



「あれ、今日はこれだけしかいないの?」
異探偵の事務所に現れた鬼才は、そこに梅ヶ枝と林檎しかいないのを見て首をかしげた
「ほかの四人は荷物を引き取りにいきました」
「あ、そうなんだ。じゃあ、待たせてもらおうかな」
「鬼才様、お仕事の方は」
「今日は午前中で終わったからね。たまにはチームメイトと過ごしたいじゃないか」

「梅ヶ枝さん!」
そこに、バタンと音をたてて栗原が転がり込んできた
「どうかなさいましたか、栗原様。ほかの三人は」
「ルイウと遭遇して、梨沢が負傷したって。様子がおかしいって伝えてくれたんだけど、真苅さんからの通信がそこで途絶えてしまって……!」
真苅の通信が途絶えるのは異常事態だ。梅ヶ枝と鬼才は立ち上がった

「林檎様、しばらく留守にしますが、あとはお任せできますか」
「うん。だいじょうぶ」
梅ヶ枝がやりとりをしている間に、鬼才はどこかと連絡を取った
そうして栗原に率いられて現場に着いたとき、目にしたものは

地面に倒れる真苅と柿本、そして、濃紫のオーラをまとった梨沢だった