バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

6 居候

「はい、紅茶でよかったかしら」
目の前に置かれた紅茶に手を付けることもできず、マヨイは震えていた
「うーん、やっぱりショッキングではあったかしらね」
フブキは腕を組んで首をかしげる
「仕方ねェだろ。人の首が飛ぶなんてレアにも程があるぜ」
家に上がり込んでいたハシモトが返した

ヤヨイに連れられ、マヨイはルソーの自宅にお邪魔していた
出迎えたルソーは頭を抱えたが、「予想はしてました」と答えた
「……ごめんなさい」
マヨイは頭を下げるしかできなかった

「こうなってしまえば仕方ありません。二度目があってもおかしくない」
ルソーはマヨイを見ながら言った
「この事件は一か月で片付けます。ですので、マヨイさんにはその間、うちにいてほしいのです」
「えっ」

「おい、ルソー、本気かよ!」
アイラがかみつくが、いつもの平坦なトーンでルソーは答えた
「僕がこんなことで冗談を言うと思いますか」

「誰かと同伴であれば外出は許可します。ご両親やおじいさんたちにはこちらから説明しておきます。ほかに、不安な点は」
「……いいんですか。何もお礼なんてできないのに。ただの高校生ですよ?」
マヨイの問いかけにルソーは首を振った
「巻き込んでしまったのはこちらの方です。むしろ僕たちが謝らなければならない」

マヨイは少し考えたが、やがて頷いた
「わかりました。できることはなんでもします。その、よろしくおねがいします」
「きまりですね」
「さ、早く飲まないと紅茶がさめちゃうわよ」
フブキにすすめられ、マヨイは紅茶を一口含んだ

その時
「ただいま戻りました」
その声と共に草香がリビングに入ってきた
そして、マヨイの顔を見、一瞬息を詰まらせた

「……マヨイ、さんですか?」
草香は呟いていた