バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

23 殺人鬼の会話

「嫌です、もうこれ以上は外に出たくありません!」
フブキの足元に隠れて縮こまるマヨイ
それもそうだろう。外出の度に襲われてはいい加減学習もする
フブキは困ったようにルソーを見るが、ルソーは首を振った

「本人がこう言ってるのでは仕方ありません。姉さん、今日はマヨイさんをお願いできますか」
「私はいっこうにかまわないんだけど」
大丈夫? とフブキはマヨイを見た

「それでは、僕は仕事に行ってきます」
「俺はハシモトのところに行ってくるぜ。いい子で留守番してろよ、マヨイ」
そう残して、ルソーとアイラは家を後にした
残されたフブキと草香は、とりあえずマヨイをソファに座らせて家事に乗り出した



『今度は何かと思えば、のこぎりですか』
テレビをぼんやりと見ながら草香は言う
ニュースは最近このあたりで頻発している殺人事件が特集に組まれていた
体をバラバラに斬り裂かれ、その場に放置されているという

「ヤヨイさんのやり方とはまた違うものねぇ……」
「のこぎりですからね。相当惨い殺され方をされるでしょうね」
マヨイは二人の会話を、まるで非現実の世界にいるように聞く
目の前の二人は、紛れもなく殺人鬼だというのに

その時、呼び鈴が鳴った
びくりと震えるマヨイを撫で、フブキは隣についた
「草香ちゃん、悪いけど見てくれないかしら」
「わかりました」
草香はそういうと、玄関へと向かっていった