バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

10 完敗

「お前、最初からさっきのカードはブタだってわかってただろ」
カクテルのグラスを傾けながらハシモトはマヨイに問う
「まさか。確かに逆にするように指定したのは私ですが、偶然ですよ」
「それにしては驚異の的中率ですよね」
「まるで「最初からそう操ってた」みたいだった」
ルソーとヤヨイが口々に言う

「私のはただの「運」ですよ。ディーラーやカードを操るような才はありません」
マヨイは少し照れながらそう返し、オレンジジュースを飲む
「でも、こうしてヤヨイさんたちのお役に立てるのなら、私はどんな手段でも使うつもりです」

「じゃあ、約束通り、資金の工面は任せていいんだな?億単位の金が動くぞ」
ハシモトの問いにマヨイは笑顔で答えた
「もちろんです。勝負は私が負けましたから」

「これはマヨイちゃんに完敗だね」
「マヨイさんが健全な高校生でよかったですよ」
「カジノのてっぺんにいるあたり、普通の高校生ではないけどね」
ヤヨイはそう言いながら苦笑した