バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

今から私は

底冷え、とはこのことを言うのだろうか
冬の本格的な寒さに耐えて2か月と数日。私は目的をもって歩いていた

私は接客業や給仕に仕えて数年の、今は何もない男だ
懇切丁寧さだけは取り柄であったが、それ故に硬すぎると距離を置かれていた
その性格と、完璧主義者故の気質だろう
私は異常だ、異端だと称されていた

そんな折、ネットで見つけたのは異端の端くれを握った人々であった
彼らとの話は楽しかった
皆何かを抱えている。それが分かっているからこそ話ははずんだ
弾んだのだが



「……おや、私より先に来ていましたか」
部屋に入ると、一人の男性が既に中で本を読んでいた
彼はこちらに気づくと本を閉じ、立ち上がる
「初めまして。梅ヶ枝天さんだね」
「はい。鬼才銀杏様で相違ありませんか」
「ああ。よろしく頼むよ」

今回、私が出会った「異端」たちと集まる約束を交わしていた
集合時間は本当は一時間後。その前に先に会おうと私に提案してきたのが、鬼才様だった
「……さて、時間がない。話をしようか」
「分かっております。今回の手筈ですね」

皆まで言うことはないが、あえてここで言おう
今から私は、私たちは、死ぬのである