バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

死んだ瞳

一時間後、約束の時間となり、続々と彼らはやってきた
皆、人と違うところを責められ、とうに笑顔を失くした者ばかりだ

女であることに疲れた少女、柿本祐樹様
機械にすべてを傾けた故に人を失った少女、真苅苺様
記憶を時折失い、多重人格に陥った少年、栗原真琴様

人のことはいえない。私は思う
私は他人を優先させすぎた。それ故にしがらみに縛りあげられ、追い出された
横をちらりと見ると、鬼才様が彼らを見ながら座っていました

「よく来たね。君たちの勇気に尊敬の念を与えよう。さあ、こちらに」
鬼才様はそう言いながら彼らから手荷物を預かって部屋に誘導した
私は鬼才様の動きをただ見ていることしかできなかった

「それで、どうやって死ぬんだよ」
柿本様がしびれを切らしたように切り出しました
「それ、うちも聞いてないねん」
「そうだよ。もう方法は決めているんでしょ?」

「そう急ぐものではないよ、君たち」
そう鬼才様は言い、小瓶を取り出した
「ちゃんと手法は考えているから、指示に従ってね」
「……」
「大丈夫。僕たちも一緒に死ぬよ。ね、梅ヶ枝君」
「……はい」

彼らは知らない
もう既にその目に生の字は映っていないこと
本当にこの世界から立ち去ることになることも

そして、そう簡単に生は途切れないことも