バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

28 姉の憂鬱

ベランダに洗濯物を干しながら、フブキは物思いに耽っていた
ルソーの今までについて考えてたのだ

両親が死んだあの日から、彼はかわった
「大丈夫」だと言いながら、外との交わりを絶ち、挙げ句転居して閉じ込めた弟
仕方のないことだと言いながら、自分に内緒で裏世界に足を突っ込んだ弟
笑わなくなった弟
何で変化に気づいてあげられなかったのだろう
今も悔やんでいる

自分も裏世界についていったはいいものの、何もできてない。強いてマヨイを助けた位だ
ハシモトの事務所にも行ったことがない
「……私って、まだ役にたててない?」
ぽつりと呟く

「フブキさん、洗濯物まだです、……か?」
アイラが窓から顔を出す。瞬間、彼は困惑した表情を見せた
「何で、泣いてるんですか、フブキさん」
「え?」
頬を拭うと、濡れていた。いつの間にか泣いていたようだ
自分があまりにも情けなくて

「何でもない。大丈夫よ」
彼女は無理矢理笑って、洗濯物をとりこんだ
最大の難関が、迫っていた