バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

まさかの行方不明

「えっ、そっちにもきとらんの?」
真苅は驚いたような声で言う
鬼才の自警団の元を訪れたヘテロ一行は一度下上の客払いで帰されそうになったが、加原と藤塚が事務所内に入れてもらえた

「鬼才さんが変だなんて、そんなそぶりなかったですよね、リーダー」
加原の言葉に藤塚が頷く
「あん人はずーっとニコニコしちょるけのぉ。考えりゃ、あいつ、なんか抱えてたかもわからんき」
「そう、か」
梨沢は腕を組む

「用事が済んだならさっさと帰ってくれないかしら」
下上がキーキーと叫んでいる
加原はそれをなだめながら柿本の方を向いた
「祐樹、鬼才さんが見つかったら連絡頂戴。私たちも探してみるけどね」
「了解。ありがとな、桃子」

自警団の事務所を出、ヘテロ一行はその場で立ち止まった
「どうするよ。あと鬼才さんの知ってそうな人って誰がいる?」
「あの人の交友関係、全く聞いたことがないからわかんないね」
「……あ」
その時、真苅がぽんと手を叩いた
「あの人なら知っとるかもわからんで」

ドアホンのチャイムを鳴らし、しばらく待つ
応対に真苅が答え、人が出てくるのを待った
出てきたのは、すらりと背の高い金髪の女性
「久しぶりやな、ロイヤルさん」
「あら、真苅さん。どうかしたの?」