バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

8 暗示と今

「こんな子に産んだ覚えはない!」
「お前、人を殺すんだろ?」
「近づくな。あいつはやばいやつだ!」

違うのに
僕はただ、皆と仲良くしたいだけなのに
親に優しくしてほしかっただけなのに
皆、僕の「暗示」で離れていった
傷つけた

「う、うう……」

僕はそんなことしたくない
なのに
なのに

「う、うあぁ!」

汗だくになって飛び起きる
辺りを見回すと、そこは確かに自分の部屋で
でも自分の家族のいる家ではなくて

朝日が昼の太陽となろうとしていた
眠りすぎたかと目をこすりながら、信行は階段を降りる
広い部屋に出ると、家愛が丁度食器を並べていた

「おはよう、信行」
「おはよう。朝ごはん食べる?」
「昼ご飯じゃなくて?」
「私たちも今起きてきたところでね」

そこに伸びをしながらイマイが入ってきた
「あ、おはよ」
「おはようございます」
イマイが相手になるとつい敬語になってしまう、と信行は頭をかく
「今、秀忠が朝食作ってくれてるから、座って待ってて」
イマイはそういうと再び奥に引っ込んでいった

今までのはすべて悪い夢だったような気がする
でも、しっかりと記憶にこびりついて離れない
「……『死神』、か」
信行はそういうと椅子に座った