バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

後日談(大黒の場合)

明日、日本の元号が変わる
数日前からその話で持ち切りの仕事場で、俺は軍手を外してスポーツドリンクをのどに流し込んだ

あれから連絡こそ取り合うものの、直接会ってはいない
話によれば、仲の良かった二人が籍を入れたらしい
あいつらが、という意外性と、そりゃそうだよなという納得が胸の中に落ちる

「平和な世の中に成るように」
そんな名目で名づけられた「平成」の時代は、それに似合わぬ非情さが連続した

明日、日本の元号が変わる
ふっと息を吐いて、トタン板の屋根を見上げて思い返した
もうすぐ一年になろうという、「平成最後の夏」を

過ぎたことだが、悪くはなかった
今日も世界のために働こうと思えた
今日はシチューだから、世界を守ろう