バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

1 某所在住のお嬢様

「アリス、入るよ」
ノック三つとともに入ってきた青年は、片手で支えていたお盆から紅茶とクッキーをテーブルにおいた
椅子に座った少女は窓から外を眺めている

「冷めないうちに飲みなよ」
「ねぇ、椎名」
立ち去ろうとした青年は、少女の声に足を止める
「今日の紅茶、どこで買って来たの?」
「近隣の公園で偶に朝市をやってるのを知らないかい? そこでちょうど見つけてね。物は試しにアールグレイを」
「そっか。朝市なら、もう終わってるわよね」
少し残念そうに少女は言う

「……久しぶりに外に出る気になったかい」
「うん。ここでお日様を浴びるのもいいけどね」
「わかった。ティータイムが終わるまでに十蔵に声をかけておくよ」
「だったら早く呼んできて!」
少女は笑顔で言った

「皆でお茶して、それから散歩にでかけましょ!」
「……分かったよ、マイプリンセス」
「もう! 私はお姫様じゃないの!」
「はいはい」
それだけ残し、椎名と呼ばれた青年は一度ドアを閉めた

少女の名は西園寺アリス
とある探偵のライバルとなる少女探偵である