バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2016-10-01から1日間の記事一覧

83 そして、

ドン 地に響くような音を立ててルソーは立ち上がった それに好奇の目を向ける当主 ルソーは自らの両腕を左胸に押し当てた ズルズルとあの嫌な音が、しかしいつもより長く溢れ出す そうして出てきたものは、いつもルソーが使ってた包丁ではなかった そう、そ…

彼のために

梅ヶ枝は周囲を見回していた 四方を霧で囲まれ、迂闊に動けなくなっていたのだ 右肩の傷は治癒補正である程度治っており、多少無理をすれば動かせるところまできていた 不意に風を切る音が耳に届き、梅ヶ枝は素早く飛び退く カカカッと音が響きながら、先ほ…