彼のために
梅ヶ枝は周囲を見回していた
四方を霧で囲まれ、迂闊に動けなくなっていたのだ
右肩の傷は治癒補正である程度治っており、多少無理をすれば動かせるところまできていた
不意に風を切る音が耳に届き、梅ヶ枝は素早く飛び退く
カカカッと音が響きながら、先ほどまでいた所にカードが数枚突き刺さった
近くに敵の存在を認識し、更に周囲を見回す梅ヶ枝
そして、また別の方向からカードが放たれた
「本当に大丈夫なのかなぁ…」
栗原が気弱な声をあげる。彼は今、また別の人格に体を預けていた
梅ヶ枝が動くのにあわせて霧を調整していく
「おや? まさか林檎君の戦闘センスを見くびってる訳じゃないよね?」
やや挑発的に言う鬼才に、栗原は両手を振った
「そそそ、そんなことないですよ。でも、不安にもなるじゃないですか…」
「大丈夫。皆がやってくれるさ。信じよう」
鬼才の言葉に、栗原は震えながらも頷いた
途切れることのない霧の中を梅ヶ枝は走っていた
時折飛んでくるカードをかわし、そちらに向けて瞬間的に跳ぶが誰もいない
それを繰り返しているうちに、梅ヶ枝も疲れ始めていた
次の一手を考えてる最中、梅ヶ枝はあるものに気がついた
それは、霧の中に浮かぶ光
とても小さく点滅しているが、距離はさほど遠くはなさそうだった
梅ヶ枝は何かあると悟り、そちらに跳ぼうとした
が
「!?」
その道中で何かに阻まれた
霧の中に紛れていたそれは、透明な大盾
そう、梨沢がそこにいたのだ
「……わりぃ、梅ヶ枝」
梨沢はそういうと、空いていた盾を突き上げ、梅ヶ枝の顎を殴った
梅ヶ枝の体は大きく跳ね上げられ、地面に倒れ伏した
気絶したのは、明白だった
四方を霧で囲まれ、迂闊に動けなくなっていたのだ
右肩の傷は治癒補正である程度治っており、多少無理をすれば動かせるところまできていた
不意に風を切る音が耳に届き、梅ヶ枝は素早く飛び退く
カカカッと音が響きながら、先ほどまでいた所にカードが数枚突き刺さった
近くに敵の存在を認識し、更に周囲を見回す梅ヶ枝
そして、また別の方向からカードが放たれた
「本当に大丈夫なのかなぁ…」
栗原が気弱な声をあげる。彼は今、また別の人格に体を預けていた
梅ヶ枝が動くのにあわせて霧を調整していく
「おや? まさか林檎君の戦闘センスを見くびってる訳じゃないよね?」
やや挑発的に言う鬼才に、栗原は両手を振った
「そそそ、そんなことないですよ。でも、不安にもなるじゃないですか…」
「大丈夫。皆がやってくれるさ。信じよう」
鬼才の言葉に、栗原は震えながらも頷いた
途切れることのない霧の中を梅ヶ枝は走っていた
時折飛んでくるカードをかわし、そちらに向けて瞬間的に跳ぶが誰もいない
それを繰り返しているうちに、梅ヶ枝も疲れ始めていた
次の一手を考えてる最中、梅ヶ枝はあるものに気がついた
それは、霧の中に浮かぶ光
とても小さく点滅しているが、距離はさほど遠くはなさそうだった
梅ヶ枝は何かあると悟り、そちらに跳ぼうとした
が
「!?」
その道中で何かに阻まれた
霧の中に紛れていたそれは、透明な大盾
そう、梨沢がそこにいたのだ
「……わりぃ、梅ヶ枝」
梨沢はそういうと、空いていた盾を突き上げ、梅ヶ枝の顎を殴った
梅ヶ枝の体は大きく跳ね上げられ、地面に倒れ伏した
気絶したのは、明白だった