バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

孤独の科学者(リアスリ)

寄ってらっしゃい見てらっしゃい
本日の目玉は久しぶりの舞台
「地獄屋」の新章が開幕するよ
転職した科学者の一人芝居
寄ってらっしゃい見てらっしゃい
 
「いやぁ、お疲れさまでした」
舞台が終わって控室に戻ると、オーナーが話かけてきた。
「仕事をするのに資金が足りないだけだ」
と返す自分も無愛想で困る。
 
「大黒屋さん、舞台に戻る気はないんですか?」
その質問に一瞬考えるが、すぐに返した。
「しばらくは戻る気はない。たまにこうして舞台をしに来るけどな」
「そうですか…」
がっくりとしたオーナーを横目に、さっさと身支度を済ませて立ち上がった。
「演技」なんてパラメーターにもならないことを続けても、おいてかれていくことに気づいてしまったのだから。
 
フレズで家を買えると知り、有り金をはたいて買った小さな家。
そこに入れば薬品のつんとした匂いが鼻を突く。
ミドルプレイヤーになって早数カ月。その癖自分でもあきれるほどに弱いことを知った。
だから強くなるまでは、資金集め以外に舞台に上がらないと決め、この家にこもることを決めた。
 
プレイヤーネーム:大黒屋
職業:サイエンティスト(アクター)
 
「科学」という武器を手に入れ、ひたすら磨くだけの毎日である。