バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【リアスリ】武器はその、「科学」

くしゃり
雑草を踏みしめ、俺は空を仰いだ
透き通った青にはずっと先がありそうで、ここがゲームの世界であることを忘れてしまいそうだ
拠点としている研究所から出るのは久しぶりだ。舞台以外籠りきりだった生活を続けていたせいで、少し動いただけで体が疲れる

ふと、首に下げた首飾りを見る
「獄」の字が刻まれた赤い首飾り。演者時代の名残
演者だった頃も、科学者だった頃も、俺は忘れていない
そしてこれが、二度目の転職。三つ目の職業
早いところ、やりたいことを見つけなければならない
俺はそう思いながら、雑草をまた踏んだ

その時
茂みから音がした。そちらを見ると、やや大きめのモンスターがこちらを見ている
転職してから最初の獲物にしては少し荷が重い気もするが、エンカウントしてしまったものは仕方がない
俺は、腰に据え付けたベルトに手を当てた

横に取り付けたボタンをはずし、大きい結晶をとりあげる
そうしてマントを翻して、結晶をモンスターに向けた
結晶が内側から光る。形が崩れる
けれどもそれは手の中に収まったまま、素早く形を変えていく

出来上がったのは、金属製の大ぶりの剣
うん、スキルの使い方も問題ない
俺はそれを両手で握り、モンスターに突っ込んだ

黒川一香。PN「大黒屋」
演者、科学者を通してたどり着いた先は、錬金術師としての道だった