バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

76 小さな兵器の決心

草香は考えていた
立て続けに起こるルソーの身の回りでの殺人事件
そして、潰したはずの「カルミア研究所」の再興
彼女なりに考えていた。カルミア研究所が、おそらくルソー達を狙っている

偶然そろってしまった仲間の存在を、カルミアも恐らく感づいている
そして、もう一度潰されないように動いているはずなのだ
『篝火』への誤認依頼、『殺戮紳士』、そして、アイラ達を襲った『猿回し』の列車
カルミアは、確実にこちらに近づいてきている

私が。草香は思った。私が何とかしなければならないのではないだろうか、と
仲間をかき集めたのも、その仲間が被害にあっているのも、全部私のせいだと草香は思ったのである
そう思ってしまっては、いてもたってもいられなくなった
草香は立ち上がった。そうして自室から出て、外に駆けだした
綺麗な若草色の髪が揺れた

そうして草香がたどり着いた先は、ミツミの診療所だった
既に閉じている扉をたたき、草香は叫んだ
「ミツミさん、ミツミさん! お願いがおるんです!」
ミツミの代わりに出てきたサイボーグに、草香は縋った
「ミツミさんに、ミツミさんに伝えてください!」

「私を、改造してほしいんです……!」