バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

77 赴く刃たち

「珍しいわね、皆でお出かけなんて」
マープルを抱え上げたフブキが言った。その横にはハシモトがついている
「今日中には戻ってきます。夕飯、おねがいしますね」
いつもの平淡な声でルソーは言った

フブキとルソーが身の上を打ち明けて、二ヶ月が経っていた
ルソーたちはあれからハシモトから回ってくる依頼を次々とこなし、着実に実力をつけていった
『赤髪の殺人鬼』の噂は大分落ち着いてきていたが、それでも根強く人々の心に残っていた

「あんまり遅くなるんじゃねェぞ。俺も暇でフブキと留守番するわけじゃねェんだからな」
「わかってますよ。そちらこそ、姉さんに何かあったら、承知しませんからね」
「おお、怖ェ」
いつもの調子でハシモトは返した

「すみません、フブキさん。マープルの世話まで押し付けてしまって……」
ルソーの横にいたヤヨイが頭を下げた
「いいのよ、構わないわ。動物は大好きだもの」
フブキは笑って返した

「それでは、行きましょうか、みなさん」
ルソーの声に、草香、アイラ、ヤヨイが頷いた
「それでは、姉さん」
ルソーはやや力を入れて言った

「行ってまいります」

冬も末に入る頃、殺人鬼4人は、財閥「カルミアグループ」に乗り込もうとしていた