バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【アンサーズ外伝】佐々木は毒を吐く

えんぴつ党副党首・佐々木シンは過去、かなり荒れていたという
えんぴつ党に入るまで彼はまともに勉強もせず、暴力に明け暮れていた
彼は「勉強」や「Qモンスターの討伐」に自分の価値を見出せなかった
西園寺に出会うまでは



「こんなところにいたんですか、佐々木さん」
屋上の風を受けていた佐々木の背後から雪村が近づく
「今日はなんにもないからね。たまにはこうして、息抜きしたいでしょ?」
半分笑いながら佐々木は返す

「……ねぇ、雪村さんってさ、最初から勉強は好きだった?」
「え?」
不意に佐々木に問われ、雪村は首をかしげる
「そりゃ、理系科目の勉強は私の生きがいですけど……」
「そう。幸せ者だね」

「僕は、最初から社会科ができたわけじゃなかった」
そう、佐々木は勉強に価値を見出せずに暴力に走っていた
その暴力をもろに受けながらも、説得し、社会科という「価値」を見出したのは、西園寺だった
「西園寺のおかげで、今の僕があるんだから、まぁ、半分むかつく案件だよね」

「でもさ、僕は今それに感謝してるんだ。こうして普通の学生……とはちょっと違うかもしれないけど、日常を送れていることは、奇跡に近い」
「佐々木さん……」

「まぁ、あの猪突猛進なじゃじゃ馬は何をしてくるかわかったもんじゃないしね」
佐々木はそう言ってけらけらと笑った
雪村にはその言葉が、嫌味をわずかに握りながらも、信頼しているように聞こえた

「あ、で、その西園寺さんからなんですけど」
「なぁに?」
「Qモンスターの討伐に出るから一緒にいこう、だ、そうです」
「相変わらずだねぇ、うちの党首は」
佐々木はそう言って歩き出した

「退屈しないから、いいんだけど」
その口元は笑みをたたえていた