バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

13 新たな殺人鬼

「……」
「……」
マヨイと草香は互いに碁盤を挟んで黙っていた
ぱちん、ぱちんと石を置く音だけが響く

その横でばさりと音を立ててハシモトはルソーに資料を投げ渡した
フブキに隠すことがなくなり、今ではハレルヤ家にハシモトが直接出向くようになっていた
「新たな殺人鬼、ですか」
ルソーは資料を受け取り、めくる

「業界での二つ名は『リース』。首絞めを専門とした殺人鬼だ」
ハシモトはルソーに言う
「自身で紐を持ち歩く他、その場にひも状のものさえあれば何でも使ってくる。力はないが機転が利く頭のいいやつだ」
「成程。おびき寄せるにしても注意をせねばならない相手ですね」

「問題をあげるとすれば、奴もヤヨイの首を狙っているってとこだろうな」
ルソーは資料をめくる手を止める
「となれば、当然間違えてマヨイさんを狙ってくる可能性もあるということですか」
「ありうるな。できれば二人に接触する前に片しておきたい。できるか」

ルソーはぼんやりとマヨイを見る
マヨイはその視線に気づき、こちらを向いた
「……やりましょう。しかし、少しマヨイさんに協力していただかなければならないかもしれません」
「お前、またよからぬことを考えてるんじゃねェだろうな?」
ヒヒッと声を漏らし、ハシモトは笑った

「マヨイさん、ちょっといいですか」
「はーい」
マヨイは何の疑いもなく、そちらに寄った