バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

17 双子の殺人鬼

「殺人鬼にも双子がいるんですか」
怪訝そうな顔をしてルソーは言った
「お前、そんな怪訝な顔しなくてもいいだろ」
少し馬鹿にしたようにハシモトは返す

いつもと変わらないハシモトの事務所で、ルソーはコーヒーを飲みながら資料を見ていた
「兄弟の一人が、とか、双子の片割れが、とはよく聞きますが、双子が二人ともとは聞いたことないですね」
「まぁ、よく似てるだけで本当に双子かはわからんがな」
ハシモトもコーヒーに口を付ける

「『火花』と『閃光』。活躍はあまりしていないが、やりだすと豪快で執念深い。過去に何件か起こした事件を遡ったが、あいつらは目標を炭に変えるまで追い続けるらしい」
「炭、ですか」
「大方、道具でもつかってるんだろうよ。執念深さはルソーの方がやばいと思うけどな」
「褒めてるんですか、けなしてるんですか」

「それで、この二人、警戒しておけということですか」
「流石だな、『弁護士』。こいつらは件のヤヨイ殺害計画に加担しているとの情報が入っている」
ハシモトは煙草の箱をふった
「マヨイも巻き込まれる可能性があるから、十分注意しておけ。……ちっ、煙草が切れた」
「自分で買いに行ってくださいよ」
ルソーはそう言い、立ち上がった

ルソーが去った後、ハシモトは立ち上がって窓の外を見た
賑わいが絶えないミカガミ町の風景をぼんやりと眺め、彼は部屋の方へ引っ込んでいった