バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【逢魔ヶ刻に止まる刻】人間の廃棄場

「至極単純なものであります」
僕はあえてそう言葉を選んで発した
突き刺さる上官の視線を半ば無視する形で受け止め、言葉を続けた
「我々第4部隊は人形を排除するための組織であり、人としての情を廃した面子でありますから」

通勤途中にいくつもの人形に襲われ、それを壊してわざわざ運んできたというのに、それを目の前にした上官は眉間にしわを寄せた
そうしろと命じたのは自分たちであることを棚にあげて、である
それを無視して立ち去ろうとすると、上官の一人が声を上げた
どうしてそこまで人形排除にこだわるのか、と

そもそも自分は普通の軍人と同じ「対人間」の軍人だった
言われるがままに任務をこなし、成績を上げてきたはずだった
しかし、上官から宣告されたのは、「対人形」の第4部隊への配属であった
それでも僕は言われるがまま、人形を壊してここまできた

でも、僕は薄々感づいていたかもしれない
自分は捨てられた身であることに
「要らない」異端な人間が流される最後の場所。それが人形殲滅隊第4部隊
そこから這い上がれたものはまだ誰一人としていない。まさしく廃棄場なのであると

「……なにが、「であります」、だ」
僕は行き掛けに買ってきたコーヒーのプルタブを引いた
教えられるものならば教えてほしい。僕と同じように流された第4部隊の皆を救い出す方法を