バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

34 夏の終わり

「皆さん、今まで本当にありがとうございました」
大荷物を背負うマヨイは、笑顔でヤヨイたちに頭を下げた
「おかげで、サクライ町に戻ることができます」

「道中気を付けてくださいね」
「この夏のこと、忘れんじゃねぇぞ」
「またお時間があいたら、遊びにでもきてくださいね」
「こんな連中だけど、遊んでやるくらいはできるだろうからなァ」

「……マヨイさん」
ヤヨイはマヨイの手を取った
「本当に、不思議な感じがするの。こんなにも似ている私たちが、ここで出会えたなんて、信じられないくらい」
「私もです、ヤヨイさん。私、絶対ヤヨイさんのこと、忘れませんから」
マヨイは笑って、ヤヨイの手を握り返した

「それでは、また」
マヨイは駅のホームへと歩く
何度も振り返っては、手を振り続けてるヤヨイたちを見て、涙がこぼれそうになった

「……ありがとう」
マヨイは小さくそうつぶやき、改札を抜けた

「行っちゃったね」
フブキが言う。ヤヨイは頷いた
「マヨイさんが、これからも順調な日々を送れることを祈るばかりね」
ヤヨイは目頭を押さえながらそう呟いた