バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2 入隊

一週間後、兼森はすべての荷物を抱えて第4部隊を訪ねた
豆生田と名乗った男がすぐに出てくる
「よぉ、新入り。今日からだったな」
「はい、よろしくお願いします」

とりあえず荷物の整頓をしようと自分の棚に荷物を置くと、後ろから腕を引っ張られた
「へぇ、君が新入りくんかぁ」
一瞬女の子にも見えたので彼は首をかしげたが、その人物はぽんぽんと背中を叩いた
「僕、飯伏。よろしくねぇ、新入りくん」

「か、兼森です」
まだ緊張が取れていないように、ぎこちなく頭を下げる兼森
飯伏と名乗った女の子のような彼は、「ん」と返事をしてにっこり笑った
「ここはいいところだよ。愛で満ち溢れた、いい場所さ」

「愛」という言葉に、兼森は再び首を傾げた
ここは軍隊だ。しかも、人形撲滅隊の一角である
人の物を、果ては命を奪うその役割に「愛」を感じたことはなかったのである
それを飯伏に訊くと「そのうちわかるよ」とはぐらかされた

「新入り」
豆生田が声をかける。彼は大きな銃剣を抱え、兼森に手を振った
「早速なんだが、お前に仕事だ」
「えっ、まだ隊長にも会ってませんよ」
それどころなんかじゃねぇ、と豆生田は言った

「武器を持て。早速人形が街中で暴れてやがる」