バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

6 興味

幾度かの鋭い銃声を響かせ、兼森は拳銃をゆっくりと下した
目の前に並べられた的には綺麗に中央に穴があいている
どこにでもいる普通の軍人だが、兼森はこれが唯一ともいえる特技であった
腰に据え付けたベルトに拳銃をしまい、彼は的を片付けるために歩み寄った

「あれ、兼森君?」
そんな声がして振り向くと、数屋がニコニコと笑いながらこちらに近づいてきた
「訓練終わったの? 片付け、手伝うよ」
そういって、数屋は的に手をかけた

「綺麗に撃ち込んだねぇ。君、銃の才能あるんじゃないの?」
「これしかできないですから」
そう。だから逆に第4部隊に栄転した理由がいまいちわからなかった

「そのショットガンも、お手製だったりするの?」
数屋の問いかけに、兼森は腰のショットガンを見ながら返す
「昔から、銃の構造には興味があったので。おかしいと思いますよね」

「そんなことないよ。むしろ、すごいと思う」
数屋の言葉に兼森は数屋を見た
「銃の仕組みに目を付けるなんて、すごい才能じゃない? おいらはそう思うなぁ」
「そう、ですか」
兼森は力の抜けた笑みを返すことしかできなかった