バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

5 変わり者

かちゃかちゃと音を立てて、兼森は自分の銃を点検する
彼の銃は配給されたものではなく、点検も自力で行わなければならないのだ
といっても、この銃を手にしてから数年は経つ。もう手慣れたものであった

「あ、いたいた」
不意にそんな声が聞こえ、兼森は顔を上げる
一人の男がニコニコしながらこちらを見ていた
イカ柄の帽子がよく目立つ、印象深い見た目だった

「君が新人さん、かな?」
「あ、はい。兼森友弘って言います」
「僕は数屋野原! よろしくね!」
数屋は兼森の手を取ると大きく上下に振った

「丁度昼休みになるけど、一緒にご飯食べない? 君とお話がしたいんだぁ」
数屋はニコニコ笑いを崩さないままそう提案してきた
兼森も特別用事はないなと思い返し、一つ頷いた



「ねぇ、兼森君はどうして第4部隊に送られてきたの?」
カレーにスプーンを突っ込んだまま、数屋は話しかける
その質問の意図が、兼森には分かりかねた
「普通に、令状が出されて移動したんですけど……」

「あ、その感じじゃまだ何もしらないね?」
兼森は首をかしげる
「この第4部隊はね、「変わり者」ばかりがそろってる部隊なんだ」
「変わり者、ですか?」
「どうしてそんな風に集められたのかは分からないけど、僕たちは個性派の集いってわけさ」

兼森は頷きながらも、心に引っ掛かりを感じた
「変わり者」なんて言われよう、まるで馬鹿にされているようだと思ったからだ
無論、そんなことは数屋には言わないが

「そんなんだから、兼森君も何かあってきたのかなーと思って。ま、そのうちわかるよね」
数屋はニコニコしながらカレーを口に運んだ
兼森はやはりあいまいに頷いた