バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

11 三年前

兼森は図書館に来ていた
無論、目的はある。「絶対時計」についてだ
あの隊長でさえ隠そうとしている「絶対時計」には、何か意味があるのではないのか
そう思えて仕方がなかった
太陽が止まったのは今から約3年前
その時に何があったのか、兼森は山ほどの新聞を抱えてめくりだした

わが国においては、経済がやや持ち直した段階だった
殺人事件が数件起こった日もある
交通事故は月に二度ほどのペースで起こっていた
外交はあまりよくなったといえよう

そんな中、世界のニュースに目を向けた兼森は、とある記事を見つけた
「6月の飛行機事故、ちょうど3年前だったのか」
彼はそのページを開いた

日本時間で6月24日の午後、一機の飛行機が事故を起こしてたくさんの人が死んだ
原因についてはこの時は言及されなかったものの、三か月ほど後に過度の労働が原因だったことが明らかになっている
謝罪会見は行われ現在も運営は行われているらしい
兼森は眉間にしわを寄せ、「そんなにひどい事故だったのか」と呟いた

一通り新聞を読み漁った兼森は、数冊の本を借りて図書館を出た
その出がけ、軍服の男とすれ違ったが、兼森はそれが誰かわからなかった