バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

12 動転

次々と人形の頭を撃ち抜く兼森
あれから数か月。市街での戦闘も慣れたもので目まぐるしい活躍を見せる兼森
第4部隊も総出で大量発生中の人形に立ち向かう
あれだけいた人形も残りが少なくなっていた

「あと少しだ!気を抜くんじゃねぇぞ!」
豆生田の声が鋭く飛ぶ。兼森は拳銃に弾を込めなおし、引き金を引く

全員の率いて先頭を走るのは隊長
彼は人に物事を任せるのが苦手らしい
目の前の人形を切り伏せ、ふと、隊長は視線をあげた

「……!」
隊長の足が止まった
何事かと思い、兼森は隊長の視線をたどる

彼の目の前には、白髪の人物が立っていた
白一色をぶちまけたようなその人物は、糸目でその場を見、踵を返して去ろうとしていた

「鹿目!」
隊長はそれだけ叫んで走り出そうとしたが、その人物はあっという間に見えなくなった
兼森は突如気を動転させた隊長に、驚きを隠せなかった

「隊長!」
「どうしたんですか、隊長!」
他の隊員も同じだったらしい。次々に声があがる
隊長はその場に膝を突き、それでも視線を上げたまま呟いた

「本当に、君がやったことなのか……?」