バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

13 関与

「鹿目は三年前、飛行機事故で両親を亡くしているんだ」
椅子についた隊長が視線を無理に上げて話す
無論、兼森が調べていた飛行機事故のことである
「当時はかなりまいっててね。僕も何度か元気づけようとしたけど、まるでダメだった」

「当時から過労に対する謝罪や手当なんかを求めていたんだけどね、あまりに不足していると怒ったものだ」
「まぁ、両親が亡くなってるくらいだからね」
数屋が頷く
「でも、それまで何も変わったことはなかったのに、ある日突然、行方不明になったんだ」

「ちょっとまって。今の今まで行方不明になっていたのにどうしてあんな場所にいたの?」
飯伏の言葉に、隊長は頷いた
「信じたくないけど、人形にかかわっていることはほぼ間違いないね」

「もしかしたら、人形騒動は、彼が黒幕なのかもしれない」



「隊長」
一同が解散した後、兼森は隊長に近づいた
「なんだい、兼森君」
隊長は先に続く言葉に期待はしていなかった
同情してほしいとも思っていなかったし、罵倒されても仕方ないとおもっていた

「その、元気、だしてください」
それ故に、兼森の言葉にもあまり動じなかった
「きっと、これから調べれば、鹿目さんが人形騒動にかかわってないかもしれないから、その」

「そうやって無理に慰めてくれなくてもいいよ」
隊長は兼森の頭をぽんぽんと叩いた
「これは僕と鹿目の問題だ。結果次第では、僕は彼を止めなきゃいけないからね」

そういう隊長の目は、どこか悲しそうだった