バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

23 『預言者』との再会

数日後
法律相談所を出たハシモトは人ごみを歩いていた
久しぶりに買い物をせずに直帰である
ハシモトは気分も相まって足が軽かった

そこに
「あっ」
そんな声が聞こえた気がして前を向く
そこには、かつてハシモトが出会った男の姿があった
「……『預言者』か」

「よかった、無事だったんですね」
預言者』は笑顔で言う
「ああ。お前の「預言」とやらは外れたわけだ」
「はは、面白いことを言いますね」

「私はちゃんと言いましたよ、「「今の」貴方はもうすぐ死ぬ」と」
ハシモトはその巧妙さに思わず笑った
「そりゃ、反則なんじゃねェの?」

「今の貴方なら大丈夫です。これから大波に飲まれても、生きて帰ってこられますよ」
「お前が言うならそうなのかもな」
ハシモトは笑顔で返し、財布を取り出した

「せっかくだからどこかで飯にでもしねェか? いいところ、あるんだよ」
「そんな、私のことはお気になさらず」
「いや、俺の「死」を教えてくれたんだからな。報酬にしちゃ安い方だろ」
ハシモトはそう言って『預言者』の肩を引き寄せた