バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

お題SS 「双生、形勢、反動」

僕たちはいつも二人で一つだった
さいころから、食べるもの、遊ぶおもちゃ、着る服、正確な時間でさえ一緒だった
だから僕は彼が好きだったし、彼も僕を慕ってくれた

「そーら、僕らの勝ちだ」
チェスの駒を同時に弾き、僕たちは言った
「流石は参謀。私どもでさえも打ち負かしますか」
二人の大臣は満足そうに笑った

「それで、今度の戦争はいかがなさるおつもりですか」
「二手に分かれて挟み撃ち、なんてどうかな」
「その方が手っ取り早いし、相手はただの脳筋だ」
「ほほう。指揮のほど、楽しみにしておりますぞ」

大臣が帰った後
部屋には僕たち二人だけが残された

「……ねぇ、「僕」」
彼は、否、「僕」はこちらを見ながら言った
「「僕」は、どっちだったっけ」