バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

私の存在

激しくせき込むと喀血した
耳はもう聞こえない。視界も霞みだしていた
少しずつ訪れようとする「死」
恐怖はあったが、私は何故か安心していた

頭を押さえる柿本様
鬼才様にくってかかる真苅様
一人床に崩れ落ちて縮こまる栗原様
そして、ただ静かに微笑んでいる鬼才様

これから死ぬというのに、皆同じ状態の筈なのに
あまりにも違いすぎるメンバーに驚きはあった
しかし、鬼才様に事の「計画」を知らされていた私は不思議と笑えた
これでこの世とはおさらばできるのだから

私は黙って、その場で目を閉じ、床に体を預けた



数時間後
無理矢理ドアを開け放ち、鬼才の部下であった下上蜜柑が見たものは
無残にも転がった5つの死体と、勝手に光り続ける端末であった