バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

13 幕間・とある可哀想なスナイパーの話

俺は二つ名を持たぬスナイパー
カルミアの下っ端として雇われているが、その正体は殺人鬼である
表舞台にこそ立たないが、その太刀筋……いや、銃筋か? 兎に角それで形勢を逆転してきた

さて、今回はとある殺人鬼を殺すためにこうやって息をひそめている
『赤髪の殺人鬼』とは俺でも聞いたことのある有名な殺人鬼だ。殺せば二つ名ももらえるかもしれない

しかし、ここ数日待ってみたが、赤い髪の人物なんて出てこない
いや、いるにはいる。だが、毛先が赤い程度で赤髪なんて呼ばないだろう
「情報を間違えたか……?」
そんなことを呟きながらスコープを覗いていた時である

目標の扉が開く
出てきたのは若草色の髪の女のガキ
なんだ、この家は。変わった髪色の奴らしかでてこない
そうゆるく構えていた。その時だ

頬を何かがかすった。思わず後ろを向く
真後ろの壁に弾痕がのこっていた
畜生、誰かに気づかれたか
しかし、ここに籠ってからはほとんど動いていない。いつどうやってばれたのか
もう一度スコープを覗く

先ほど出てきた女のガキが、指先をまっすぐこちらに向けて立っていた
いや、指先に見えるそれはぽっかりと穴が開き、煙を吐き出している
そしてガキは見えないはずのこちらを見ながら口を動かした
『今向かいます。覚悟してください』

かくして俺の出世ルートはもろくも崩れ去っていった