バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【エピソード・桃子】整理の時間

「半月前、地方密着型のアイドルグループが姿を消した」
栗原がデバイスを見ながら言う
「犯人は特定されておらず、ルイウの可能性も否定できない」
「で、以降この二週間で次々と未成年の女の子が失踪を続けてるわけだ」
梨沢の言葉に栗原と鬼才が頷いた

「その杏子ちゃんって子も巻き込まれとる可能性があるわけやな」
「ルイウ相手だと危険ですね。できるだけ早い対応が必要というわけですか」
加原は俯く。柿本はそっと加原に寄り添った

「大丈夫だ、桃子。杏子は俺たちが見つける。約束する」
「うん。ありがとう」
加原は目頭をぬぐい、前を向いた
そして頭を下げた

「杏子ちゃんをお願いします。私、できることなら何でも協力しますから」
「いややなぁ、桃子ちゃん。顔あげぇや。そんなにかしこまらんでもええねんで」
真苅はぽんぽんと加原の頭をなで、紅茶をすすめる
加原は頭をあげると、紅茶を一口飲んだ

「そういうことでしたら、早速協力してほしいことがございます」
梅ヶ枝が一つ礼をしながら近づいた
「依頼主の方にお任せするものしのびないのですが、杏子様の拠点まで案内してほしいのです」
「わかりました」
「俺もいくよ。いいだろ、梅ヶ枝」
「そうですね。柿本様もついてきてくださるとありがたいです」

そんなやり取りを、小型ルイウと遊んでいたはずの林檎が眺めていた