バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【エピソード・桃子】事件の犯人

『見つけたで、水島杏子の借りていた倉庫!』
真苅からの連絡を受けて梨沢達はそちらに向かっていた
「何があったのです、梨沢様」
「林檎に言われて気が付いた。水島杏子の無事が確認されていないのであれば、最悪の状況も考えなければならない」
「マインドアウト、かな?」
「それで済めばいいけどな」

水島の拠点からやや離れた山奥に、貸倉庫があった
人通りの少なさや交通の便の悪さから今はほとんど人が寄り付かなくなってるらしい
『例の貸倉庫の電子ロックは解除したわ。気を付けてや!』
「ああ、真苅、ありがとう」
端末を切ると、梨沢は倉庫のシャッターを開けた

「やっぱりな」
「……!」
「これは……!?」

倉庫はやや広く、隅に少女たちが「散乱」していた。眠らされているようだった
そして、倉庫の中央に、一つの影が立っていた
少女の形を象っていたが、全身は黒く、目は赤く輝いていた
「この失踪事件は、ルイウによって引き起こされたもの、というわけだ」

ルイウは手に持っていた端末を落としこちらを見る
梨沢達も武器を構えた
「鬼才さん、周囲の女たちがマインドアウトしている可能性がある。見張っててくれ」
「分かった。気を付けて、梨沢君、梅ヶ枝君」
梨沢は端末をルイウに向けた
『ルイウ【6】、討伐を開始します』
機械的な声が倉庫に響いた