バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【エピソード・桃子】新たなる決意

「水島杏子はルイウ討伐の最中に霧型ルイウに体を乗っ取られ、二週間以上経過していた。いずれにしろ本人は死んでいた。梨沢の判断は正しかったんだよ」
梨沢の体調判断も兼ねて異探偵の事務所に来た大黒屋はそう返した
ここは梨沢の自室。梨沢は大技の開放で体力が追いつかずに横になっていた
「だが、柿本にとっても辛い判断だったろうな。友人を殺すことになったんだから」

「俺も初めての判断だから自信がなかった。そういわれて、やっと安心している」
「お役に立てず申し訳ございません、梨沢様」
「いや、梅ヶ枝もよくやってくれた。あそこで加原をマインドアウトさせるわけにはいかなかったからな」

「ところで、当の柿本と加原はどうしたんだ」
「二人で外に出られてますよ。つもる話もあるでしょう」



「……桃子」
柿本は桃子の隣に座った
あの時と同じ、河川敷の一角
加原は膝を抱き、うつむいていた

「あの、ごめんな。あの時、ああするしかなかったとはいえ」
「……いいの。これが、多分杏子ちゃんが望んだことだから」
桃子は顔を上げる
「私、杏子ちゃんの分まで生きるって決めたから」
「……そっか」

「祐樹、私、アイドルの勉強がしたい」
「え?」
桃子はこちらを向いた
「杏子ちゃんの遺志をついで、地元密着型のアイドルになるの。すてきじゃない?」
「ああ、いいな。桃子は可愛いから、ファンもできるぜ!」
「ありがとう!」
柿本は加原の頭をぽんぽんと撫でた



これは、ちょっと別の世界での話