バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

19 路地裏の出来事

アイラの姿はよく目立つ
2メートルはあろう身長、それに合う服がない故の黒いローブ、そして、水色の髪に赤い髪留め
故にアイラは昼間の外出を拒み、どうしてもの用がない限り夜にならなければ外に出なかった

夜になってもミカガミの街は騒がしい
中央都市に近いからなのだが、アイラは騒がしいのは苦手だった
だから裏路地を歩くのだが、裏には危ない奴が潜んでいる

「これはこれは、『折り鶴』ではないか」
そう、今この場に『薬師』がいるように

「……何の用だ」
「ちょっと殺しに」
あっそ、とアイラは踵を返そうとするが、『薬師』の持っていた試験管が放たれ、目の前におちた

「つれないなぁ。俺の目当てはお前らなんだぞ?」
「ちっ、カルミアのお抱えが」
「今回は個人的に動いてるけどね。何時まで経っても上がゴーサイン出してくれないもん」

「君の首をとったら、次は『弁護士』とその姉だ」
アイラはぴくりと反応した
そしてため息をひとつ吐くと、左手を伸ばして構えた

「この先には行かせねぇ」
「言ってくれる」
『薬師』は笑った