バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

21 俺の存在

家に帰るなりフブキとあっさり出くわしてしまった
フブキはいつもの笑顔で「おかえり」と言ったが、服の状態を見て眉間にシワを寄せた

「何かあったの、アイラさん」
「……いや、何でもない」
アイラはそのまま階段に向かって歩こうとしたが、ぴたりと止まって振り向いた
部屋からルソーと草香も顔を出す

「……なぁ、フブキさん」
アイラは珍しく不安そうな顔をしていた
「俺は、ここにいて、いいんだよな?」
フブキは数秒止まっていたが、すぐに小さく吹き出し、笑いだした

「何言ってるのよ。当たり前じゃない」
「!」
フブキはアイラに近づき、両頬に手を添えて言った
「貴方が居たいと思うのなら、私はずっと歓迎するわ。生まれは違えど、貴方は私たちの家族なんだから」
「か……、家族……」

「ねぇ、そうでしょ、ルソー?」
「そうですね。貴方は素直で信頼に足る人物です。家族であってもいいと思えます」
「勿論、草香ちゃんもよ」
フブキは姿勢を屈めているアイラの頭を軽くなでると、にっこりと笑った

「夜食におにぎり握ったの。食べたかったら降りてきてね」
フブキの言葉に、アイラは頷いた
その表情は柔らかいものになっていた