バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

それまで

家に帰る
アパートのワンルームには誰もいない
俺はスマホを立ち上げて少しいじり、ガムテープを取り出した

窓のサッシにはりつくテープを見ながら
ああ、人生辞めるって結構簡単なんだなと思う
あの研究は自分の命をかけた力作だった
宇宙のダークマターを作り出す研究
実を言うとできていたのだ

何がいけなかったのだろう
今になって考えてみても、よく分からない
謎を解明することの何がいけなかったんだ
唯一心配そうに接してきた藤塚先輩には申し訳なかったが、そんなことよりも自分を認めてくれないこの社会に嫌気がさしていた

天井にロープをくくりつけ、市販の睡眠薬を一気のみする
そうしてその輪に首を通し、足元の台を蹴った
スマホが光っている
薄暗い室内には、よく見える光だった



目が覚めると、そこは見たことないはずの、しかし既視感の残る世界だった

俺が異探偵に拾われるまで、あと三週間