バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

三人目の仲間

ピピピと電子ウィンドウを開き、大黒屋は幾つものデータを見比べる
通い助手のツキトが部屋に入ると、いつもはいない、しかし見知った顔の二人が同じ部屋に居ることに気がついた
「信行さん、秀忠さん」
「よっ」
「お邪魔してるよ。お茶は気にしないで」

「それで、師匠。例の件、どうなってるの?」
信行がのんびりした声で大黒屋に話しかける
「その「師匠」ってのやめろって何度も言ってるじゃねぇか」
大黒屋は頭をかきながらそう言うと、ウィンドウいじりをやめてくるりと信行たちの方を向いた

「何の情報もなしだ。北かもしれねぇからツキトにも情報提供を求めてるが、そっちもダメらしい」
「お力になれず申し訳ありません……」
頭を下げるツキトだったが、「頭あげろよ、お前のせいじゃねぇ」と秀忠がなだめる

「家愛のやつ、こっちに連絡くらいくれればいいものを」
「家愛」。このセカイのどこかにいるであろうプレイヤー
そして、かつて信行たちと仲間であった少女である

「引き続き調査は任せておいてくれ。お前らは「死神」の仕事をこなしてればいい」
大黒屋の声に、二人は立ち上がった
「感謝するよ、師匠。でも、僕らは代行業者だ」

立ち去っていく二人の背を見ながら、ツキトは呟いた
「彼らの言う「死神代行業者」って、なんなんでしょう……」
大黒屋は返す
「やってることは変わらねぇ。ただ、「死神」を名乗れないだけだ」