バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

真苅苺の優雅な一日(その1)

少しはやめに起きるのが真苅の日課である
異端とはいえ彼女の素質はどこにでもいる女の子
美容に気を付ける故に夜更かしはしない

リビング兼応接間に降りると、彼女より早起きな梅ヶ枝が朝食の支度をしていた
「おはようございます、真苅様」
「おはよう、梅ヶ枝はん。今日はスクランブルエッグか何か?」
「よくお分かりで。私としたことが、寝坊をしてしまいまして」
「珍しいなぁ、梅ヶ枝はんが寝坊て」
「昨日は遅かったもので」
「いうて、5分とかそんなもんやろ?」
「10分です」
「大して変わりゃせんやん」

梅ヶ枝の手伝いをしていると、メンバーが次々と入ってくる
自警団に行かなければならない鬼才は先に朝食をとって出て行くが、他のメンバーはここが仕事場なため、そろって朝食をとる
一番遅い梨沢が席につくと、全員で手を合わせていただきますと合唱

朝食がおわると当番制で食器を片付ける
それが終われば仕事の時間だ
依頼人が来ないときは真苅は地下にあるコンピュータ室に向かう
システムの管理を匿名で行っている真苅は、膨大な量の画面を前に操作を繰り返す
いつの間にかそれで一日過ごしてしまうときもある。昼食をとらなかったがために夕飯がすすむ
しかし、今日は出かける予定を午後に入れていた

「真苅、入るぞ」
三つのノックの後に入ってきた梨沢に、真苅は手を振る
「丁度よかったわ。ちょっとこのシステム見てくれへん?」
「はいはい。10時の軽食、ここに置いとくぜ」
机にトレーを置くと、梨沢は真苅によりそった

「……いいんじゃねぇの? お前、やっぱり機械に強いよな」
「おおきに。これ、分かってくれるのあんただけやもんで」
「偶然だ。それより、今日は柿本と出かけるんだろ?何時に呼べばいい?」
「昼食の時に呼んでくれや。そのまま出かけるさかい」
「了解した」

梨沢がいなくなった部屋で真苅は伸びをし、そのまま作業を再開した