バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

小さな変化、大きな変化

「なぁ、大黒屋」
チームのメンバーで集まっているときに、スイが何気なく話しかけてきた
「お前、眼の色変わった?」

「眼?」
俺は端末を立ち上げてカメラ機能で顔を撮す
「昔は茶色っぽかった気がするんだが」
そう言われる俺の眼は、濃い紫に染まっていた

「……気のせいじゃないかしら」
あえて素知らぬふりをする
スイはそこで「そっか」と納得し、別の話題に移った
「……冗談じゃねぇ」
小声で俺は言う

闇華と付き合いはじめて数年は経っていた
自分も、この属性にいくらか慣れてきたと思っていた

この眼は、闇の色に染まりだしている
つまり、闇の侵食が進んでいるのだ

「闇華の野郎」
小声で呟いて舌打ちする
とはいえ相談できる相手はいない。いてもクロ先輩だが、あの人に心配はかけたくない

「大黒屋ー?」
メンバーの声に笑顔を作り、俺は言った
「なんでもないわ」