バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

とある密室で(有罪裁判官)

バタバタと足音がばらついて響く
複数の男たちが、血相を変えて逃げていく
ドスン
地響きと共に空間が揺れる
短い悲鳴も上がる

地獄絵図と化した現場は、ものの数分で静かになった
壁際に追い詰められた男が、震えながら目の前に立つ二人の男女を見る
血にまみれた白い外套には「滅」の文字
女は片手に巨大なハンマーを握り、男はまた巨大な鋏を追い詰められた男に向けた

「貴様は、何の罪で死ぬ」
外套の男に問われるも、男は返せない
「そんなもの、私には関係ないが、貴様たちはやりすぎた。多くの人間を殺してきた。「短逝執行人」に大人しく従っていればよかったのだ」

「先輩、こいつ、どうするつもりすか」
女が外套の男に訊いた
彼は当たり前だろうと言わんばかりに答える
「ここで、首を断つ」
そうして鋏を握り、彼は言った

「自分の罪を見つめて死ね」

狭い部屋に生きているのは、外套の男女だけである
彼らは何をすることもなく、出口へと向かう
「蓮池から、神は見ているだろう」
男はそう言い、扉を閉めた