バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

茶菓子と話

時計の針は三時を少し過ぎていた
下からのチャイムに気が付き、大黒屋はブラウザを開く
「あら、スイ」
「茶菓子持ってきたんだ。入れてくれるか」

応接間に通されたスイは辺りを見回す
「相変わらず殺風景だな」
「研究室に基本的に籠ってるからね。必要なものはここにはないのよ」
かちゃかちゃと音を鳴らしながら食器を持ってきた大黒屋は、その場で紅茶を淹れる
「新作の解剖図ができたの。後で見る?」
「いや、いいよ。俺にはさっぱりだからな」

「それで、今日は何の用で来たの?」
紅茶を一口すすり、大黒屋は先に切り出した
「……お前の属性のこと、訊いておきたかったんだ。チームメイトになって久しいが、俺はお前の事、殆ど分かっていない」
大黒屋は黙り込む。何から話そうか考えているようだった

「……「闇華」って、覚えてる?」
大黒屋の言葉にスイは唸る
「確か、お前のリミッター解除術だろ?」
「そう。でも、厳密には違うの」
大黒屋は立ち上がり、部屋の鍵をかけた

「「闇華」っていうのは、私の中にいる「もう一つの闇」。多重人格とは、ちょっと違うけどね」
「どういうことだよ」
「闇華は、「闇そのもの」ってこと」