バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

ありがとうを言うために

「んー! おわったぁ!」
背伸びをしながら真苅が応接間へと入ってくる
仕事の整理をしていたメンバーが手を休め、真苅を見た
「お疲れ、真苅。どうだったよ」
「ただのシステムエラーやったわ。大したことなくてよかった」

「そういえば、鬼才さんは?」
真苅の言葉に、ソファに座っていた梨沢が答える
「ロイヤルの所だよ。昨日のお礼がしたいんだとさ」
「ああ、成る程」



手に持った花は造花だ
毒属性の自分が生花に手を出すと枯れてしまうので選んだのだが、喜んでくれるだろうか

「……」
少し俯き気味に鬼才は歩いていた
親友であるとはいえ、手を煩わせてしまった罪悪感に苛まれていたのである

でも
「笑顔、笑顔だ、鬼才。今の自分が一番最低だ」
鬼才はそう言うと、顔をあげてあるきだした
ありがとうを言うために