37 処刑台へ
「緊急事態、緊急事態!」
「複数の侵入者を確認!」
「全員配置につけ!」
ギャーギャーと騒がしいカルミア本部
『ボス』はそれを高みの見物としているだけである
しかし今回は様子が違った
声の消え行くタイミングが早い
おかしい。こんなこといままでなかった
いや、あるにはあった。丁度、1年前の話だ
一方、現場では
「ためらうな! 一人残らず殺せ!」
ハシモトの声が飛ぶ
屈強な男たちが剣も銃ももろともせずガードマンをぶち破る
「貴方たちと同じ戦場に立つ時がまた来ようとは」
「俺は払われた金の分、仕事をするのみだ」
「あら、恩義もないのね。私は彼に恩返しをするの」
「やれやれ、またおかしな殺人鬼ばかりが集ってしまったようだ」
「道を開けろ! 俺たちのリーダーのお通りだ」
アイラは鎖を振るい、ガードマンを巻き込みながら前に進む
その後を一人の男がついていく
ガン
『ボス』の部屋の扉が蹴りはらわれた
彼、ルソーは包丁を取り出しながら呟いた
「どうも、殺人鬼です。ちょっと、殺しに来ました」